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親苗を定植しよう

2021.11.24(22:31)
来シーズンの苗作りの要となる親苗。


育苗の本格始動は来年の春先になるが、一旦節目であるプランターへの定植の時期を迎えた。





冬場の収穫がメインであるいちごの場合、育苗は少し特殊で、苗から苗を採苗するのが一般的。


簡略的に説明すると、夏に採苗した苗を秋にプランター等に定植し、越冬させた後春先~夏場にかけて1本の親苗からおよそ20~30本の子苗を増殖させる。


何とも非効率な作物だろう。
1年がかりで30倍にしか増殖させられない。


いちごの育苗はロングタームであり、尚且つ手間隙がかかる。





いちごの親苗は非常に重要で、種苗会社の厳格な管理によって育てられた無病の苗を親苗とする事が最も病害中リスクが低い。
ウイルス病とか菌とか伝染してしまうので。(その分コストはかかる)


その為、毎年新しい親苗は必ず必要になる。





しかし全ての親苗を種苗会社から購入していては農家として当然苦しいので、昨年から先輩農家さんを真似して自家育苗による親苗生産に挑戦している。


そもそも全ての親苗を購入するいちご農家は稀で、大抵自家育苗しているらしい。(栽培技術の差ですね)





自家育苗だが、今年の8月のお盆過ぎに昨年購入した無病の親苗から翌年の親苗を採苗していた。


それから約3ヶ月。


毎日の水管理と病害中管理を経て、ようやく定植の時期を迎えた。


長かったです。





しかし、ここで大問題が発生。


"炭疽病"に感染している疑いのある苗を見つけてしまった。


今作の育苗で大いに苦しめられたいちご栽培の大病だ。


親苗が炭疽病に感染していた場合、子苗ほぼ全てに感染してしまう。


最悪の場合、育苗の"詰め"である来年の8月に育苗ハウス内全ての子苗が枯れる可能性が一気に浮上した。


どんなに素晴らしく育苗ハウスをリニューアルしても、苗自体が病気を持ち込んでしまったら元も子もないのである。


将棋で例えると最初から"歩"が半マスしか進めない。


もしくは最初から"飛車角落ち"のようなもの。


不覚ながら判断に迷いが生じた為、先輩農家さんに即刻電話で相談すると…


「自家育苗の親苗は全部捨てた方が良い。」


との事。。。








先輩を信じて全ての苗を廃棄した。1000本育てていたのだが…


それでも今作の育苗で廃棄した苗数の1/4にも満たない。


いちご栽培が投資型農業である施設園芸である事を考えると、このような損切り場面は覚悟していたが、どうしてもサンクコストを思い浮かべて堪える…少し寝込んでしまいそうだ。未練が残る。


ただ、来年の夏に同じ思いをするのならば、捨ててしまってクリーンな精神状態でいた方が今後半年間安心して眠れるもの。
その分で挽回したらいいじゃないか。
そう、ポジティブに考えるようにしたい。





残り約500本の購入苗は週末に到着する。


来年は良い親苗を作りたい ~明日もボンボヤージュ~
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北上いちご園農園主

Author:北上いちご園農園主
岩手県北上市にある観光いちご園、北上いちご園農園主のブログです。

このブログは、元船乗りを経て2014年に新規就農した農園主が、
農園の様子や、いちご作りの様子等を紹介しています。


※ボンボヤージュとは、
船出の際、「よき航海を!」
と、旅立つ人々への挨拶です。

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